隣のシミズさん。向いのコタロー。

昔住んでいた所は一つの土地に、コの字の内側向きに古い小さな借家が建ち並び、それぞれの玄関に至るまでの砂利道を囲んで袋小路にしていた。太い道路から外れて、その砂利道に入る境目には、両端には立方体の石柱が立っていた。片方は崩れかけていた。よく…

ユリナとレイヤ

家の隣にはおんぼろな物置小屋があって、屋根は雪が積もらないように裏に向かって斜めになっていた。 だから裏に落ちたら雪が山になっていて、雨が降れば雫もその上に垂れるから鍾乳洞の様に、雪山には氷の柱が等間隔で生えている。それがまるで恐竜の背中の…

ツキノワグマちゃん

幼い頃住んでいた家の近くには保健所があって、決まった曜日になると保護されている仔犬仔猫を広場に出して遊ばせている。 それを外から見るだけではなく、私達も中へ入って犬猫と触れあう事ができて、気に入られれば引き取り主が見つかるという訳なのだ。で…

タンクの下のお墓と金魚の呪い

北海道の住居の外には、厳しい冬にもストーブの炎を絶えさせない為の、灯油を備蓄する大きなタンクが備えられている。昔住んでいた家にもそれがあった。 縁日などで買った金魚は、飼い慣れていない者にとって長生きさせることは難しい。複数匹飼っていた金魚…

日当たりの悪い庭

昔住んでいた小さな家は隣にマンションが建っていたからか日陰になることが多く、冬場になると庭に積った雪はなかなか溶けにくかった。 縁側の窓には大人のみぞおち程まで積った雪の、襲いかかる様な断層が望めていつか窓ガラスを破るのではないかと子供心な…

スタン先生の足

2歳くらいの頃(もしかしたら2歳にすらなっていない、とにかく小さい3歳未満の頃)から英才教育に熱心だった母により英会話教室に連れてかれていた。その時の私の担当の先生はスタン先生という背の高い外国人の男性だった。顔は全く覚えていないが、見上げた時…